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ハチミツ

やおい好きの腐女子のブログ。今は、海外の刑務所ドラマ「OZ/オズ」の囚人カップルに萌えてファンサイトになっています!仲間募集中!

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刑務所ドラマ「OZ」 妄想話(後編)

さてと、珍しく話が長くなって前後編になった話の後編です。

その前にいまさらですが、携帯からブログをご覧の方に再度お知らせです。
公開制限記事のパスワードを変更したところ携帯からも閲覧できるようになりました。
詳しいことはカテゴリのパスワードについてをご覧くださいませ。

さて、時間を置くと元の妄想がどこかに行ってしまうのでこの話も当初の予想とは違う話になりました(^^;)
なにしろ、ケラーさんとビーチャーさんが議論しすぎて・・・。
予定していたエロなシーンはそのためカットです。力尽きました。

あと、話の内容はシリアスというかほのぼのというかギャグのようないい加減な感じです。
ビーチャーとケラーの会話が長いのでほとんど動作も展開もないです。
それなのに、文字数約8500字ってもう・・・妄想って無駄が多いということですね(笑)

*注意*
・これは刑務所ドラマOZの二次創作話です。男同士の同性愛が苦手な方は読まないように
・ビーチャーとケラーのエロいシーンはないですが、キスシーンはあります。
・いつもの通りおちのない拙い話です。それでいてまた文章が長いです。

以上の注意にそれでもいいよという寛容な方は続きをどうぞ。
ちなみに、前編を読んでないとさっぱりな話なので読んでいない方は、こちらからどうぞ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ジムから出たケラーは、険しい顔で殺気を放ちながら廊下を歩いた。
すれちがう囚人は森でトラでも見かけたように目をそらし、とばっちりを受けまいとしてそそくさと逃げた。
ケラーはずんずんと所長室に向かったが、部屋に行くまでに不思議と看守に見かることはなかった。

ケラーは所長室の前につくとドアをノックすることもなく開いた。
部屋にはライアンが言ったとおり所長はいなかった。
ケラーは初めて入った所長室をさっと一通り見渡した。
黒革張りの所長の椅子、大きながっしりとした木の机、その上には書類と受話器、壁の棚にはファイルがぎっしり入っていた。だが、部屋には所長室といっても絵や調度品など金目のものは無く、簡素で実用的な事務室の雰囲気だった。
ケラーは後ろを振り返り看守がいないことを確認すると静かに後ろ手で扉を閉めた。
ビーチャーはどこだ?とケラーがもう一度、静かな部屋を見渡すと耳にカタカタとキーを打つかすかな物音が聞こえた。その音は、ケラーのいる部屋から続く奥の部屋からしていた。
ケラーはその音の方にゆっくりと静かに歩いていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~

ビーチャーはイアホンを耳につけて所長の声の入ったテープを聴きながら、その言葉をタイプで書類に打ち出していた。当然、周りの気配や音には気づかない。黙々とキーを打っていた。
そんな風に無防備だったビーチャーは不意に後ろからうなじを捕まれて、椅子から飛び上がって叫んだ。
そして、わけが分からずパニックになったビーチャーは振り返りざまに相手が誰かも確認せずに拳で殴りつけた。
これはOZで培った習性だった。だが、ふり出した右の拳はかわされてがしっと右腕を捕まれてしまった。

恐怖がビーチャーの体を電流のように巡った。一瞬、死ぬのかとすらビーチャーは思ったぐらいだ。
だが、目で相手を確認するとビーチャーの心臓は実際に一瞬止まった。
むりもない、ここにいるはずのないケラーが目の前にいたのだ。
ビーチャーは幽霊でも見たような顔でケラーを見つめた。
「クリス・・・ホール(懲罰房)から出れたのか」
呆然として口から出た言葉は、ビーチャーの予想に反して冷静だった。
「ああ」
ケラーは短く返事をすると掴んでいたビーチャーの腕をぐいっと引いた。
そして、ビーチャーを胸に引き寄せると黙って抱きしめた。
「・・クリス」
ビーチャーは身体の強張りを解いてほっと息を吐いた。
馴染みの感触と暖かさに包まれてビーチャーはようやくケラーがいることの実感が沸いて落ち着いたのだ。
ケラーは黙ったままビーチャーの首筋に頬を愛しそうに擦り付けて、ゆっくりと鼻からビーチャーのいい匂いを吸った。
ビーチャーはクスクスと笑い声をあげた。
「クリス、止せよ、くすぐったいんだ。お前の髭が」
ケラーは顔を上げてビーチャーの顔を見て悪戯っぽい笑みを見せた。
「ああ、そいつは悪い。シャワーで剃り忘れた。お前に早く会いたくってな、トビー」
ビーチャーは甘い笑みを浮かべた。嬉しくてたまらなかった。
「クリス、おかえり」
ビーチャーはそう言うと右手を上げてケラーの左頬をそっと撫でた。
不精髭でザラザラしていたが、一週間ぶりにケラーに触れる感触は心地いい。
「ああ、ただいま、トビー」
撫でられてケラーは満足そうなため息をついた。そして、頬に置かれたビーチャーの手をケラーは左手を重ねて掴むと頬から離して手の平にそっとキスをしてその手を離した。
それだけでビーチャーの体に甘い刺激が走った。
「クリス」
ビーチャーがかすれた声で囁くとケラーはビーチャーのライトブルー目をまっすぐに見つめた。
そして顔を近づけると唇を重ねた。そして味わうようにゆっくりとビーチャーの口を吸った。
キスを重ねながら満足げなため息をついてケラーは呟いた。
「トビィ、トビィ、愛してる」
そしてケラーはキスをしながら舌でビーチャーの閉じた唇をなぞった。
ビーチャーが素直に唇を開くとケラーの舌が隙間にすべりこんでビーチャーの舌を絡めた。
ディープキスの甘い快感にビーチャーは喉を低く鳴らして喜んだ。
愛情を向けられる、求められる感覚にビーチャーは心が酔った。
嫌なことも何もかもこの瞬間だけは吹き飛ぶ
薬や酒を飲んだってこんな至福の感覚には及ばないとビーチャーは思った。
そして、さらに貪欲に快感を求めようとケラーの背中に腕を回して強く引き寄せた。

湿った音と荒い吐息を交じらせながら1週間分のキスしようとするように二人はキスを夢中でし続けた。
口内で舌を絡めてお互いの息を吸いながら唇を何度も激しく貪りあった。
そして息が切れてどうしても耐えられなくなってから二人はようやく顔を離した。

赤く上気した顔で荒い息をつきながらビーチャーは顔をケラーの肩に置いた。
「クリス、・・・クリス」
切ない声でそう呟いてビーチャーはケラーの首筋にキスをしながらかすれた声で囁いた。
「クリス・・しようよ」
一週間のケラーの不在の影響でたまったストレスとさっきのキスで高まった欲求にビーチャーの融通のきかない強固な理性も崩れ去っていた。
ここが所長室だということも今のビーチャーの頭にはない。
ケラーの肩に甘えるように頬を擦り付けてビーチャーは「抱いてくれ」と囁いた。
そして、ケラーの背中に回した手を下ろし、ケラーの紺のタンクトップの裾から指を潜らせ素肌に触れようとした。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ケアーは頭の半分で、このままヤルのもいいと思った。
普段、真面目でストイックなだけに積極的になるとビーチャーはこの上なく色っぽくい。
ケラーとしてはセックスはいつだって大賛成だ。
だが、ケラーの頭には例の噂に絡むもやもやとした問題が残っていた。どうしても気になって仕方がない。
ケラーはビーチャーを後ろに少し押して顔を引き離した。
「トビー、先に聞きたいことがある。」
ビーチャーは悩ましげなため息をついて手を止めるとケラーを見た。
「ゴムなら俺は持ってないぞ」
ケラーは軽く笑った。
「そんな話じゃない。」
ビーチャーは眉を少しひそめた。
「・・・長い話になりそうか?」
「どうかな、場合によるな」
ケラーがそう答えるとビーチャーはうんざりしたように目を上にした。
そして不満げに鼻を鳴らして、しぶしぶ言った。
「・・それで、何が知りたいんだ?」
不機嫌そうな顔もそそるなと思いつつケラーは真面目な顔で言った。
「グリン所長とお前の噂は本当か?それから、ライアンとはどうなってる?」
ビーチャーは冷水でも浴びたような顔をして、ぐいっと体を引き離した。
そして、ライトブルーの目を丸くしてケラーを見ると言った。
「なっ?、クリス、一体なんだそれは?」
「聞いているのは俺だ。グリンについてはどうなんだ?」
ケラーは冷ややかな口調でそう言った。
ビーチャーが嘘をついていないか反応を見るためにわざと刑事が尋問でもするように威圧をかけたのだ。
ビーチャーはわけが分からないという顔で言った。
「どうって・・そもそもどんな噂が流れているんだ?俺は聞いたことがない」
「聞いたことがないだと?お前と所長ができているって噂だぞ?」
ケラーがそういうとビーチャーは口をあんぐりと開けた。
「なっ、・・・そんなバカバカしいことってないぞ!いったい俺がどうしてそんな!?」
「やっぱり唯のデマなのか」
ケラーが片眉を上げた。
ビーチャーは額に青筋を浮かべて言った。
「当たり前だ!!クリス、いくらお前が嫉妬魔だっていっても分別ぐらいはあるだろう?あの堅物の所長が俺にそんなことするわけがないだろ!どこのどいつがそんなデマを流して!?」
ケラーはじっと詮索するようにビーチャーを見た。
どうやら嘘はついてないようだ。ケラーは満足そうに目を細めた。
ケラーの沈黙を疑いだと解したビーチャーは心外だというようにムッと眉間にしわを寄せた。
「ケラー、俺を信じないのか?」
ケラーは片眉を上げて意地悪な笑みをビーチャーに向けた。
「いいや、信じてるぜ、トビー。だが、こんな噂が流れるのもお前の浮気な性分のせいだな。あと、色気を無自覚に振りまくのも良くねえ。そんな態度だから噂の的になるんだ」
「なっ、俺のどこが?!」
「・・・自覚がたならさ過ぎるぜ。ウサギちゃん」
ケラーは皮肉るような笑みを浮かべた。
ビーチャーはシリンガーに狙われた原因をまだよく分かっていないのだ。
ケラーが目を光らせてガードしているからあからさまに手を出す奴はいないが、シャワーで話していた黒人囚人のようにまだ他の囚人からも狙われているのだ。
この事実をいくら指摘してもビーチャーはその度に憤慨するだけで真に受けないのだから手を焼く。
結局、ケラーは黙って見守るしかないのだ。
ケラーは苦笑するとビーチャーの頬に軽くキスをした。
そしてビーチャーの頬を唇で撫でながら呟いた。
「はじめから予想していたが、今回の噂は暇な看守の悪ふざけってことか。まあいい。で、トビー、ライアンの件はどうなんだ?」
~~~~~~~~~~~~~~~~

ビーチャーは困惑したように眉を寄せた。
次から次によく分からないことばかり聞かれて内心うんざりという感じだった。
だが、ケラーは一度はじめたことは何でも気が済むまで止めないのだ。
しかたなくビーチャーは言った。
「ライアンの件がどうって・・何のことだ?」
「ああ、奴から聞いたんだ。最近、お前は奴を避けてるんだってな。どうしてだ?・・・何か奴に悪いことでもされたのか?セクハラか?恐喝か?」 
真顔でそう聞かれてビーチャーは呆れた顔をした。
「・・・ケラー、まったく・・・お前にとってライアンは友達じゃないのかよ?どういう人物評価してるんだ?
まるで犯罪者・・・いや、確かに犯罪者だけど、でもなぁ」
ケラーは冷ややかに笑って言った。
「おいおい、トビー。俺はここに友達なんかいねえぜ?奴だって俺を友達なんて思ってやしねえ。お互いにこつるむのにちょうど良い奴ぐらいだ。」
あんなにいつもつるんで悪だくみを楽しそうに話ているのに信頼してないのかとビーチャーは内心で薄ら寒い思いになった。
OZでは相手とつるんでも信頼しないのは当たり前というのは知っているが・・・所詮、善良な一市民のビーチャーには理解できない感覚だった。
ビーチャーは深く考えないように気を取り直すと言った。
「・・それにしても、ケラー、ホール(懲罰房)にいたせいで思考回路が悪くなてるぞ。ライアンは筋金入りのストレートだって常に言ってるだろ?男の俺に手なんか出すと思うのか?」
ケラーはフンと鼻で笑った。
「自称なんて当てになるかよ。俺は前に一度、奴とアルバレスが柱の陰でいちゃついてるのを見たことがある」
ケラーは真面目な顔でそう言った。
その予想外の話にビーチャーは信じられないという顔で言った。
「なっ!・・・嘘だろ?商談かなにかしてたんじゃないのか?」
ケラーは目を鋭くしてビーチャーを睨んだ。
「色事に関して俺の目を疑うのか?俺が思うにライアンは俺とタイプが似通ってるんだ。本能に忠実なタイプさ。ヤリたくなったら、ヤル。油断はできねえぜ。」
確かに類は友を呼ぶと言うとおり、ケラーとライアンがよくつるむのは気質が似ているからかもしれないなとビーチャーも思う。
だが、ライアンがケラーと同じバイというのは・・・・思い当たる行動はあるなと思いつつもビーチャーには分からなかった。
「・・・・でも、そんなことするとは俺には思えない。それに、ミゲルは・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ケラーはビーチャーの認識の甘さに内心で舌打ちをした。
まったく警戒心が薄いにもほどがある。
OZ一の狡猾な策略家のライアンを友達だと思っているなんて奴はライアンが付け入るのに格好の獲物にすぎない。あの甘いマスクと言葉で騙して操られる。
ケラーがライアンとつるむのは、一番警戒している奴のそばにいるほうが監視しやすいからというのもあるのだ。
ケラーは鼻息をついた。
「お前は呆れるほどお人善しだな。トビー、ライアンを聖人とでも思ってるのか?」
そう呆れるように言ってから、ケラーはさっきビーチャーの言った言葉に引っかかった。
「・・・ん?、ちょっと待て、トビー、ミゲルだと?ミゲルって、あのミゲル・アルバレスのことか!?
おい・・いつからアルバレスを名前で呼ぶぐらい親しくなったんだ?」
ケラーのダークブルーの目に嫉妬の火花が散った。
ミゲル・アルバレスと言えば、ラティーノのグループの若い色男だ。ラティーノとは縁がほとんどないからケラーは会話をしたことがなかったが、当然見たことはある。
ケラーは目を鋭くしてビーチャーを見つめた。
ビーチャーはケラーの反応に驚いた顔をした。
「え!? いや、これは前から・・ミゲルとはOZに来た時期が同じで・・それにムカダ神父との繋がりもあるし」
「ふうん?お前らは仲良しなのか?初耳だな」
ケラーは目を細めてビーチャーを見つめながら、頭の中の人物帳にラティーノのアルバレス要注意のチェックを入れた。あとで調べようというのだ。
ビーチャーに近づく虫は一匹たりともケラーは見逃すつもりはない。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ビーチャーは不安げな顔になると、またケラーが何か良からぬことをするのではないかと心配しながら言った。
「クリス、詮索しても俺たちには何もないぞ?」
「ふうん?」
「むしろ、俺は関係ないんだ。神父とミゲルの関係なんだ」
「へえ?肉体関係か?」
「!!!・・クリス!どうしてお前はいつも思考がそうなってるんだ?」
「知らんな。で、どうなんだ?」
「知らないよ。俺はただ時々ムカダ神父を手伝ってミゲルへの伝言とか、手紙とか渡してたんだ。そのついでにミゲルとは言葉を交わすから・・名前で呼ぶ程度には顔見知りになったんだ。それだけだ。」
「ふ~ん。お前は愛のキューピットってわけか。」
「!!クリス! 神父を冒涜するような想像をするなよ!!神父はただミゲルを助けようとして」
「ん~、そうだな。神父は清くなくてはいけないからな。だが、聖職者といえど」
「クリス!!それ以上は言うな!」
「なんだよ、ベイビー。お堅い奴だな」
「クリス・・・、絶対にムカダ神父にそのネタで嫌がらはせするなよ」
ビーチャーはそう言って釘をさしたが、ケラーはあいまいな人の悪い笑みを浮かべて言った。
「ああ、分かった。気をつけるさ。話を戻すぜ、トビー、ライアンを避けてるのはどうしてだ?」
ビーチャーはどう言おうかと言葉を捜して躊躇した。
「うっ・・それは・・俺の自身のせいさ。俺が誘惑に負けるから」
ケラーは一気に目を剥いた。
「なんだと!!誘惑?!!おい、トビー、お前やっぱりライアンに!」
ビーチャーは慌ててケラーの両肩を掴んで宥めた。
「ちがう、ちがう!違うんだ クリス!」
「何が、どう、違うんだ?トビー、俺には分からんな!」
「クリス・・説明するから落ち着いてくれ」
ケラーは荒い鼻息をついて黙った。
ビーチャーはケラーの肩をゆっくりもみながらゆっくり言葉を選んで言った。
「俺が・・ライアンを避けたのは、薬と酒をやらないためさ。俺が落ち込んでいるのを見かけたら、よくライアンは元気出せとか言ってヤクとかアルコールをくれるんだ。気持ちは嬉しいんだが、俺は・・」
ケラーは低く唸ってビーチャーの言葉をさえぎった。
「・・・・ヤロウ、お前を酔わせて何かしようとたくらんでるんじゃねえのか」
「なっ、ちょっと待て、クリス!それは疑いすぎだ。ライアンはそんなつもりはないんだって」
ケラーは呆れたようにため息をついた。
「・・トビー、だからお前は人が善すぎるって言うんだ。あいつが何の見返りなしのボランティアなんてすると思うのか?!」
ビーチャーはちょっと黙って考えた。
「・・・・・。・・・ちょっとぐらいするんじゃないのか?たぶん?」
「・・・・・お前は・・いや、もういい。オライリーには俺から餌付けはするなと言っておく。
あとな、トビー、不審な奴から貰った物を口にするんじゃねえぜ」
「・・・・不審な奴って、クリス・・それはOZにいる奴すべてに当てはまることだ。もちろん、お前もだぞ、クリス!」
ビーチャーがそう言うとケラーはニヤッと肩頬で笑った。
「俺はいいんだ。とにかく、オライリーからタダで貰う物は食うな。タダより高い買い物はないんだ」
トビーは黙ってため息をついた。まったくケラーは用心深すぎると内心呆れながら。
ケラーはビーチャーの態度を同意とみなした。
「ところでさっきの話しだが、トビー、何を落ち込んでいたんだ?酒やクリスに手をだしたいほどにお前が落ちこむことがあったのか?」
急にずばりとケラーに聞かれてビーチャーはどういって言いか戸惑った。
ケラーがいなくて落ち込んでいたと素直に言うのはいい年した大人として恥ずかしいという気持ちがあったのだ。
何か妥当な理由がないかと頭の中を探して悩むビーチャーは、その沈黙がケラーを苛立たせていることに気づかなかった。
「どうした?言えよ、トビー」
「・・・・」
「トビー」
「・・・・」
「!? おい!トビー、また一人で悩むつもりか?くそっ、どうせサイードには相談したんだろうが!?なぜ俺には言わない!?」
ケラーの怒鳴り声にはっとしてビーチャーは思考から戻った。
そして、ようやくケラーの怒りと悲痛を浮かべた表情に気づいた。
「クリス?」
ケラーは苦々しい声で言った。
「トビー、俺はまだ頼りにならないってのか?信用できないってのか?」
ビーチャーは慌てて否定した。
「クリス、そうじゃない!そうじゃないんだ!!」
「だったら何だ!?」
ケラーが強く言うとビーチャーは少し俯いて、か細い声で言った。
「俺は・・・、俺が落ち込んでいたのは・・・・・・寂しかったんだ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ケラーは言葉がとっさに思いつかなかった。
どうせ子供のことかシリンガーとの確執のことだろうと思っていたケラーには、悩みの理由が寂しかったからとは予想外のことだったのだ。
どうしていいか分からずケラーはじっビーチャーを見た。
ビーチャーは顔を上げると、じっとケラーを見つめ返した。
ビーチャーのライトブルーの目は潤んで揺れていた。
ケラーはそれをみて息を呑んだ。
ビーチャーはケラーの目を見つめながらおずおずと言った。
「クリス・・俺はお前がいなくて・・・恋しかったんだ、クリス・・・だから・・」
ビーチャーは肩に置いた手を上げてケラーの短い黒髪に指を這わせた。
ケラーは今度こそ本当に何も言葉が見つからなかった。
ビーチャーが、こんなに素直に思いを言ってくるなんてことはあのニューイヤーの時以来かもしれない。
ケラーの胸は嬉しさと愛しさで高鳴った。
もしホール(懲罰房)に入ってしばらく離れることでビーチャーがこうなるのならホールに計画的に入るのも悪くないなと頭の片隅で思いながら、ケラーは息を呑んでビーチャーの続きの言葉を待った。
ビーチャーは目をゆっくり閉じると残りの言葉を囁いた。
「クリス、もういいだろ。just kiss me . Love me. 」
「トビィ」
ケラーはかすれた声でそう囁くと後はあふれ出しそうなほどの愛しさを勢いよくビーチャーの唇に重ねた。
~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~
「やあ」
そう言ってマクマナスの部屋にマーフィー看守が入ってきた。
机に座って職務中だったマクマナスは顔を上げた。
「やあ、ショーン。どうした?」
マクマナスは心配そうに言った。
幼馴染で頼りになるマーフィーが困った顔で入ってきたのだから何か難しい問題があったに違いないのだ。
「ああ、マクマナス。看守の間に流れている噂を知っているか?」
マーフィーがそう言うとマクマナスは首をかしげた。
「いや、知らないな。どんな噂なんだ?」
「所長と囚人がデキているという噂だ。」
マクマナスは目を丸くした。
「はあ?!そんなのデマだろ。ショーン」
「俺もそう思うんだが、何しろ面白おかしく尾ひれがついて看守たちの間で話されて広まっているんだ。放っておくと問題になりそうだ。メディアに出たらまずいネタだろ?」
「それは確かにまずいな。ワイドショウは嘘でも飛びつくだろうし。で、ショーン、どの囚人なんだ?」
「ビーチャーだ」
「え、そうか!それならちょうどいいよ。ああ、良かった。」
「?何が良いんだ?」
「僕はシスターにこのところずうっと冷たい目で見られ続けてたんだ。ビーチャーを所長のところに回したのは僕のせいだってことで。ああ、これでビーチャーはシスターのところに戻せるし、シスターの恨みから解放されるよ。良かった~きっとこれで女性に食事の誘いを振られ続けた最近の不運も止まるはずだ。」
「・・・・(食事の誘いについては)どうかな」
「何?」
「いや、なんでもない。」
「じゃ、さっそくシスターに連絡するよ。所長は出張から帰った時に噂の件を伝えたら僕の処置にも納得するだろうし。いい口実をありがとう、ショーン!お礼に奢るよ、今夜食事でもどう?」
マーフィーは一瞬きょとんと瞬きしてから答えた。
「ああ、いいとも。」
マクマナスは満足そうな笑みを浮かべると、机の上の受話器を取りながら言った。
「ほら、幸先がいい。じゃあ、また仕事が終わったら待っててくれ、ショーン。ーーああ、シスター・ピート?実は朗報があるんだ・・」


*end*
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| OZの妄想小話(SS) | 20:17 | comments:4 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT

こんにちわ☆

ビーチャかわいい(≧∇≦)

嫉妬するケラー大丈夫かな~と思ってましたが、ビーチャの気持ちを知ってラブラブなラストで安心しました!

しかもミゲルや神父まで登場(´▽`)

マクマナスとマーフィの会話もウケる♪

楽しいお話ありがとうございます\(*^▽^*)/

| gobyuu | 2010/05/20 13:12 | URL |

ウェルカムです! gobyuuさん(^▽^)

拙い話しですが楽しんでもらえて本当に嬉しいです!!(*>▽<*)

> ビーチャかわいい
今回はビーチャーさんを可愛くしてみました。気に入ってもらえて嬉しいです!
ビーチャーさんは素直になればほんと可愛いです♪ケラーにべたぼれですからね(笑)
でも、ケラーにちょっと冷たいビーチャーの方が好きだったりします(笑)

> 嫉妬するケラー大丈夫かな~と思ってましたが、ビーチャの気持ちを知ってラブラブなラストで安心しました!

ジェラシーなケラーさんはほんと何をするか分からない危険人物ですからね(苦笑)
あとこの二人の誤解とかすれちがいでドラマでは悲劇な展開になりましたからね。でもまあ、私の妄想話ではあんまり危ないケラーさんは出さないようにしていますので、こんな感じで平和にラブラブです(笑)気に入ってもらえて嬉しいです♪

> しかもミゲルや神父まで登場

本格的に登場させるには到りませんでしたがいつか出すための伏線です(笑)
ビーチャーと絡めて出したいと思ってます♪

> マクマナスとマーフィの会話もウケる
私も今回なぜか一番書いていて楽しかったのがこの二人の会話です(笑)
マクマナスとマーフィーはカップリングでなくていいので夫婦漫才していればいいと思ってます♪マーフィーさんラブなので(^^*)

ではでは、コメントを本当にどうもありがとうございました(^▽^)/~

| はちだんご | 2010/05/20 20:18 | URL |

ビーチャさんの悩んでる理由が可愛い過ぎますww
嫉妬しまくりのケラーさんもこれじゃ…>▽<
後はラブラブになるしかないですねvv
美味しいお話をありがとうございました♪

| あけぼの | 2010/05/24 12:49 | URL |

ウェルカムです! あけぼのさん(^^)

> ビーチャさんの悩んでる理由が可愛い過ぎますww

そう言ってもらえて嬉しいですw
ドラマでは深刻に悩みまくりのビーチャーさんなのですが、私の妄想内ではこんなレベルの悩みでいつも悩んでいます(笑)恋に悩む乙女なビーチャーさんです(笑)

> 嫉妬しまくりのケラーさんもこれじゃ…
ええ、ケラーさんはもう嬉しくてたまらないですw
ビーチャーにメロメロで人一倍愛されたいと思っている人ですから、ビーチャーにこれだけ思われていると分かったらもうすべて許します(笑)

> 後はラブラブになるしかないですねvv
そうですよねv
所長室で勝手にラブラブです(笑)誰にも邪魔されないし、二人とも久しぶりで燃えているし・・もうそれは情熱的なラブシーンです。どうぞ妄想してください(笑)

では、コメントをどうもありがとうございました(*^▽^*)/


| はちだんご | 2010/05/24 21:46 | URL |















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