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ハチミツ

やおい好きの腐女子のブログ。今は、海外の刑務所ドラマ「OZ/オズ」の囚人カップルに萌えてファンサイトになっています!仲間募集中!

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刑務所ドラマ「OZ」 *妄想話*

さてと、妄想話をまた書いてみました。
最初の5行までは、まじめな話を書こうかとか思っていたのですが、文章や展開を考えるのが面倒になっていつものごとく挫折しました。「やおい」な駄文です(^^;)

この話に出るのは、ビーチャー、ケラー、ライアン、シリル、ヒル、オリジナル脇キャラ囚人です。
内容は・・・ほのぼの系&ギャグっぽい感じです。まただらだら長いです。ドラマとは関係ないです。
ただ、ビーチャーとケラーはすでにカップルです。

*注意*
同性愛な話です。多少下品かも?、拙いやおい話です。

それでもいいよ。という寛容な方は続きをどうぞ。


エムシティの昼下がり

ケーブルテレビの前に椅子を並べて囚人たちがテレビを見ていた。
くだらないニュースだ。
囚人の権利擁護団体の運動の中継をしている映像を見ながら、ケラーはふんと鼻を鳴らした。
(その運動で、このくそな刑務所の生活の何がよくなるってんだ?)
ケラーは、テレビから目をはなすとエムシティのゲートの方に目を向けた。
(ちっ、ビーチはまだ帰ってこねぇのかよ。どんだけシスターの仕事で残業させられてんだ?ああ、くそ退屈だ)
ケラーはギシットと椅子に深く座りなおして腕を組んだ。
そして、もうジムに行こうかと思案しだしたところで
「よう、K-Boy」とライアンが後ろからやってきて声をかけてきた。
ケラーは、振り返ってライアンを見るとニヤっと笑みを向けた。
「よう、オライリー」
ライアンがいれば退屈紛れになる。ちょうどいいぜとケラーは思った。
「なあ、オライリー 何か面白いことは聞いているか?」
「ああ、あるぜ。いろいろな。だが一つは、お前が気にする情報だ」
「ん?何だ」
ケラーは興味をそそられてライアンに体を向けた。
ライアンはニヤっと笑ってケラーに近寄って言った。
「お前の大事なハニーについてさ」
OZの情報通のライアンがもってくる話だ。ケラーの脳裏にぱっと不吉なイメージが浮かんだ。
ケラーは椅子からガタッと勢いよく立ち上がるとライアンに迫った。
「なんだと?!ビーチャーがどうした!?おい、もったいつけずにさっさと言え!」
ライアンは手でケラーを制しながら、予想通りのケラーの反応に苦笑した。
「どうどう、落ち着けよ、K-Boy。別に怪我したとか襲われたっていう話じゃねえぜ」
ケラーは鼻息を荒くつくとライアンを睨んだ。
「くそっ、オライリー、おどかすな!・・・それじゃ、何の話だ?続けろ」
「いいぜ。その話ってのはな、」

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上の話から約30分前
シスターの部屋

ビーチャーはシスターの部屋でパソコンにデータを黙々と打っていた。
(ああ、早く帰りたい・・・目と肩と腰が疲れてきたな。ああ、くそう。俺もなんだってデータのバックアップをとっていなかんたんだろ?俺のバカバカ・・・。クリスのやつきっと待ちくたびれて機嫌が悪くなってるだろうな・・はあ~・・ )
ビーチャーは、ため息をついた。
ちょうどそんな時に、部屋のドアが開いて誰かがやって来た。
ビーチャーはパソコン画面から顔を上げてその侵入者を見た。
「やあ、ボンド」とビーチャーはその囚人に笑顔を向けた。
ボンドはH区画の囚人だが、最近よくカウンセリングにくるので顔見知りなのだ。
それに、OZの囚人にしては気の大人しそうなボンドにビーチャーは好感を持っていた。
ちなみに、ボンドは顔も悪くない。
「やあ、ビーチャー。あの、シスターは?」
ボンドは部屋をきょろきょろと見渡した。
「ああ、シスターは今呼び出しがあって席をはずしているけど」
ビーチャーは素早くパソコンのキーを叩くと今日のスケジュールを見た。
「予約はあるな。それじゃあ、ボンド、そこの椅子に座って待ってるといい。シスターもすぐに戻ると思うよ」
「ありがと。そうするよ」
ボンドはそう言うと、シスターのデスクの前の椅子に座った。
ビーチャーはパソコンの画面に目を戻すとまたキーを打ち始めた。
しばらく、カタカタというキーを打つ音だけが部屋に響いた。
ボンドは所在無さげにしていたが
「なあ、ビーチャー ちょっといいか?」とビーチャーに声をかけた。
「ん?なんだい、ボンド?」
「その、な、あんたは、ケラーとその、できているんだよな?」
「・・・・・・・それで?」
「ああその、男同士でするのって」
「ボンド。興味本位でファックのことを知りたいのなら、俺じゃなくて頼むからゲイのやつに聞いてくれ。」
「・・・・・」
「・・・ボンド?もしかして、誰かに惚れたのか?」
「・・・・・ああ」
「そうか・・・それでシスターのカウンセリングをよく受けに来た訳か・・・」
「・・・なあ、ビーチャー。お前なら分かるだろ?」
「う・・・まあな」
「なあ、ビーチャー。俺にアドバイスをくれよ」
「!?・・でも、その、シスターに相談した方が・・・」
「ビーチャー、頼むよ」
ボンドはすがる様な目で訴えた。
ビーチャーはしかたなく頷いた。相談を持ちかけられると断われないのは人の良さもあるが弁護士の性分だ。
「ああ、分かったよ。それで何のアドバイスが欲しいんだ?」

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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
だいぶ後のエムシティ
ロックダウンの前の点呼の時間。

険しい顔のケラーを目にしたビーチャーは、はあとため息をついた。
ビーチャーが仕事から解放されて、エムシティに戻ってきたのはちょうどこの点呼の時だった。
ビーチャーはケラーの隣に並ぶと点呼が終わるまでの間、どうやってケラーの機嫌を取り繕うかとフルに脳を使っていた。
点呼が終わってビーチャーはポッドに入ろうとしたところで、ケラーがビーチャーの右腕を掴んでぐいっとひっぱりポッドにビーチャーを押し込んだ。
「おいっつ、クリスっ、何するんだ?!」ビーチャーは振り返って抗議の声を上げたがケラーの鋭い睨みを見てすぐに黙った。
ケラーが怒っているのは明白だ。だが、遅くなったからといってここまでケラーが怒りをみなぎらせているのは不思議だ。
「クリス?」
ケラーは腕を組むとビーチャーと向かい合ってから、低くうなるような声で言った。
「ビーチ、どういう事か詳しく話してもらおうか」
ケラーはまるで容疑者を取り調べる刑事のような威圧的な態度だった。
ビーチャーはそれに気圧されてすぐには返事ができなかった。
ビーチャーは弁護士だったが、刑事は専門外だったから無理もない。
「ああ・・遅くなったのは、シスターのパソコンが壊れてデーターの入れなおしをするために残業になったんだ」
ビーチャーは正直に言った。だが、ケラーの怒気で気圧されたためかまるで現行犯で捕まった犯人の苦し紛れの弁解のように口調はたどたどしかった。

ケラーは、眉間にしわを寄せさらに険悪な顔になった。
「ビーチ。俺はそんなことが聞きたいんじゃねぇ。奴とはどういう関係だってことだ!」
雷のような怒鳴りをケラーに落とされたビーチャーはビクッと体を震わせてライトブルーの目を丸くした。
「なっ?!何の話だ?」
ビーチャーには、ケラーの言っていることが皆目検討がつかなかった。
ケラーは、口角を引きあげて皮肉な笑みを浮かべた。
「とぼける気か、ビーチ?今日、ボンドって奴とシスターの部屋で二人っきりで話していただろう?」
「!?おい、クリス なんでお前がそれを知っているんだ?」
「そんなことはどうでもいい。俺の質問に答えろ!!」
「ああ、話はしたさ!でも、たいした話じゃない・・お前が気にするような話じゃないぞ、クリス」
「気にするかしないかは俺が決めることだ、ビーチャー。奴と何を話したんだ?!さっさと言え!」
「くそっ、怒鳴るなよ!とてもプライベートな話なんだ。言えない」
「言えないだと・・?」
ケラーは低くうなった。ケラーの深いブルーの目は怒っているせいでほとんど黒に見えた。
ビーチャーは慌てて言い付け加えた。
「ああ、ボンドの個人的相談にのったんだ。相談内容は言えない。守秘義務があるんだ・・道義的にな」
「・・・・相談だと?」
「そう、たんなる相談だ。おい・・・なんだよ?クリス、まさか俺が浮気でもしたとか疑っているのか?ハハッ、ばかげてるよ、まったく」
「・・・・・・」
「!!? なっ、ふざけるなよ!俺が浮気なんかすると思うのか?!」
「・・・・・・」
「おい、何だよケラー!その疑いの眼差しは!しないって!!」
「・・・・・・」
「クリス!!」
「お前は誘惑に弱いタイプだ」
「!!? そんなこと!」
そう言いかけてビーチャーは口をつぐんだ。自分の今までの行動を思い返すとさすがに完全に否定することはできないと思い直したのだ。
「・・・・いや、その・・・確かに俺に弱さがあるのは自覚してる・・酒とかドラッグに溺れたし・・・でも」
ビーチャーがそう言って続けて弁解しようとするとケラーは首を振った。
「同じことだ。いいか、トビー、お前はハマりやすくて溺れやすいんだ。心に隙がある時に誰かから誘惑されたら引っかかりやすいんだ。ムードに流されやすいんだよ」

ケラーにそう断定されて、そんなことない!とそこは強気に言い返そうとビーチャーはしたのだが、ケラーのレーザーのような鋭い威圧的な視線に怯んだ。
ケラーは人の心理を良く読む奴だ。ビーチャー自身よりビーチャーのことをよく知っているかもしれない。
俺は・・・誘惑に弱いのか?ムードに流されやすいって・・・・俺がクリスに惚れたのもそんなムードだったからか?
ビーチャーはなんだか不安になって頭でそんなことをぐるぐる考えだした。
そして、ビーチャーは不安な顔でケラーに聞いた。
「なあ、クリス。俺ってそんなに分かりやすいのか?」
「ああ、典型的だな。まさにかに座の性格だ」
「!!!」
ビーチャーは驚きのあまり口をあんぐりをあけた。
それからすぐに気を取り直すと勢いよく言った。
「ケラー!! なんだよそれは!! そんなくだらない理由で俺を断定したのか!!かに座ってなんだ!!」
ケラーは平然とした顔で言った。
「お前の誕生月の星座だ。そんなことも知らねえのか?」
「そんなの知るか!どうでもいい!それより、ケラー、ふざけた理由で言いがかりはよせ!!」
「俺は本気だ」
「なお悪い! いいか、ケラー。たかが星占いで俺のすべてを分かったようなことをいうな!!」
ケラーは目を鋭く細めた。
「ビーチ。今までの自分の行いを振り返ってみろ。優柔不断で悩んでふらふらしてたんじゃねえのか?家族や伝統に縛られていたんじゃねえのか?」
「・・・・・うっ、ああ、その通りだけど・・・それが?」
「言っただろ。お前の行動はかに座の典型だ。今まで星占いはやったことねえのか?」
「・・・・。ああ、妻のグエンは好きだったけど。俺はそんなの非科学的で子供騙しだと思ってたから」
ケラーはふんと鼻を鳴らした。
「そうだろうな。だが、こいつは昔から続いているからな。それだけ当たるんだよ」
昔から続いているという伝統の事実とケラーの自信を前にビーチャーはそれに反論できなかった。
ビーチャーは諦めのため息をつくと弁論方針を変えることにした。
ビーチャーは純粋なペイルブルーの目でケラーを見つめながら無実を訴えた。
「だけど、クリス、分かってくれよ!俺は浮気なんかしていない!今日遅くなったのは残業だし、ボンドには相談にのっただけだ!!神に誓って!」
「・・・・・」
「クリス!本当だって!!俺を信じないのか?」
ビーチャーはそう言ってペイルブルーの目を潤ませるとプリーズクリス!と無言で目で訴えた。
するとケラーは悩むように顔をしかめてから言った。
「トビー。俺はお前を信じたい。だがな、目撃者がいるんだ。お前らがやけに親密に話していたってな。しかもボンドって奴はカウンセリングに最近よく通ってきているらしいじゃねえか、お前に会うためか?」

「シスターに会うために決まってるだろ!ところで、誰だよ、その目撃者ってのは?」
ビーチャーはここぞとばかりに強く否定すると、ケラーを逆に問い詰めようとした。
だが、ケラーはフンと鼻を鳴らした。
「守秘義務がある。取引上のな」
「おい、ちょっと待てよ、クリス!その目撃者は誰なんだ?!何だその取引ってやつは?!いくら払った?!出鱈目をつかまされてるぞ、クリス!」
ビーチャーにそう言われ、ケラーは少し眉をしかめて思案するような顔をした。
「んーむ・・・じゃあ、奴と何もなかったっていう証拠はなんだ?」
「・・・・・。そんな、身の潔白の証明なんてのは不可能だ、クリス。”起きなかったこと”の証明なんてどんな有能な弁護士だって無理な話だ。可能性をゼロにする証明なんてできない。」
ビーチャーはそう言うと頭を振ってため息をついた。
そして、ケラーを真直ぐに見つめると真面目な顔で言った。
「クリス、俺はボンドと二人だけで話しはしたさ。シスターが戻るまでの30分ほどだ。でも、何もしてない。お前が何を聞かされたのかしらないけどな。
なあ、クリス。俺はお前を愛してる。それに嘘はない。それは信じるだろ?だったら」
ビーチャーが言い終わらないうちにケラーは顎を右手でさすりながら言った。
「ん~、そうだな。トビー、だが、この件で浮気をしていないと俺を納得させるにはそれだけじゃ足りねえな」
「それじゃあ、どうしたらいいんだ、クリス?」
「弁護士だろ?証明したらいいんじゃねえのか?俺を愛してるって」
ケラーはニヤっと意地悪く笑ってビーチャーを見た。
ケラーのディープブルーの目は愉快そうに光っている。どうやらもう厳しく問い詰める気はないようだ。
ビーチャーは内心ほっとしてから、フンと軽く鼻を鳴らした。
ケラーのご機嫌直しに付き合うのは大変だが、ここでごねて喧嘩をするよりはずっとましだ。
「ああ、分かった。お前の望む方法で証明をしてやるよ。でも、消灯してからだ」
そう言うビーチャーに向かってケラーは低く笑った。
「No」
ケラーはそう言うと手を伸ばしビーチャーの肩を掴んでぐいっと胸に引き寄せた。
「俺は今日十分待たされた。もう待つのはうんざりだ。さあ、ベイビー、証明してくれ、今すぐだ」
ケラーは顔を寄せてビーチャーの耳にそう囁くやいなや、うなじにかぶりついた。

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~~~~~~~~~~~~~~~~~
次の日の朝、エムシティ

食堂に向かうヒルは、ふらついた足取りで一人歩くビーチャーを見つけた。
ヒルは車椅子をこぎながらビーチャーの側に並ぶとビーチャーの横顔を見た。
ビーチャーは目の下にはうっすらと隈がでていてずいぶん疲れた様子だった。
「よう、ビーチャー どうしたんだ? ひどい顔をしてるぜ?死にかけてんのか?」
ビーチャーはヒルに顔を向けると弱弱しい笑みを浮かべた。
「ああ、まあな。・・・死にそうになったな。」
ビーチャーは小さくつぶやいてため息をついた。
ヒルは片眉を上げてビーチャーをまじまじ見た。
「ん?何て言ったんだ?」
ビーチャーは苦笑すると首を振った。
「ああ、いや。何でもないよ、ヒル。大丈夫だっ、うっ、ゴホッゴホッ」
「おいおい、ビーチャー。声がずいぶんとかすれてるぜ?風邪でもひいたんじゃねえのか?体調が悪いんならネイサン先生に見てもらえよ」
ビーチャーはのどをさすって息を整えてから言った。
「・・いや、大丈夫だ。単にのどの調子が悪いだけだから。( 喘がされすぎてのどが痛んだんだ。)」
「けどよ。足もふらついてるぜ?」
「いや、その・・ちょっと疲れてるんだ・・・・( 昨夜、ケラーに無理な体勢を長時間強いられたからとは死んでも言えない・・・)」
ビーチャーの脳裏にはありありと昨夜のあのシーンが浮かび上がった。ビーチャーは羞恥で顔を火照てらした。
ヒルは目ざとくビーチャーの顔色の変化に気づくと心配そうに言った。
「おい、ビーチャー。なんだか顔も赤くなってるぜ?ほんとに大丈夫か?」
「!! ヒル、頼む。今は俺のことは放っておいてくれ。」
ビーチャーは赤い顔をさらに赤くすると顔を背けて言った。
「そうか?じゃあ、俺は先に行くぜ」
気の良いヒルはそう言うと車椅子をビュンと勢いよく回して朝食の列に向かった。
ビーチャーはそれを見送ると安堵のため息をついた。
それから眉間にしわを寄せてのどをまたさすった。
「ああ、気まずかった。ヒルには悪いことをしたな。せっかく気遣ってくれたのに・・くそっ、これもすべてケラーのせいだ。それから、ライアン!!あの野郎・・どうしてケラーにデマを吹き込んだんだ?嫌がらせか?いったい俺に何の恨みが!!」
そう一人呟いた瞬間、ビーチャーの脳でピンと鐘が鳴った。
「うっ・・・あのせいか?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
食堂

ビーチャーはトレーをとると食堂の列に並んだ。
ビーチャーは順に前に進みながら目を給仕している囚人たちに走らせた。
そして、探していた囚人を見つけると睨みつけた。
「よう、ビーチャー」
ライアンは、ビーチャーにニヤっと笑って自分から先に声をかけてきた。
ビーチャーは、むすっとした顔で
「オライリー。ケラーにデマを吹き込むのは止めてくれないか」と言った。
ライアンはとぼけた顔で肩をすくめてみせた。
「何の話だ?俺には分からんな。ビーチャー、ほらパンを受け取ったらさっさと前に進めよ。後ろがつかえるぜ」
「くそっ。オライリー、お前だってもう分かっているんだ。ライアン、あの事で嫌がらせはよしてくれ!俺はネイサン先生に下心はない!」
「・・・ビーチャー、さっさと前に進めよな」
ビーチャーはライアンの冷たい目を見てぞくっと背筋に寒気が走るのを感じた。
ビーチャーの心当たりの通り、やはりライアンはビーチャーとネイサンとの間にあったことを知っているようだった。
ライアンのグローリアへの執着心は強い。そしてOZの死神とあだ名されるライアンに嫉妬された相手はいつ死んでもおかしくはない。ここは下手に出てライアンの機嫌をとりなそうとビーチャーは慌てて頭を切り替えた。
ライアンだって本気でビーチャーが下心があってそうしたとは思っていないはずだ。
話せば余計な誤解は解けるはずだとビーチャーは思った。
「オライリー、本当だ!聞いてくれ。神に誓って、あの時ネイサン先生に抱きついたのは・・・!!」
そう言って説明しようとした時、急にビーチャーは背後から強い殺気を感じてぱっと後ろを振り向いた。
そこには、腕組みをしたケラーが立っていた。ダークブルーの目はすでに黒かった。

ケラーはビーチャーの目を真直ぐ見ながら引きつった冷たい笑みを浮かべた。
「ふ~ん、その話、俺は初耳だな。トビーベイビー。ちょっと詳しく俺にも話してくれねえか?」
ケラーはまるで天気でも尋ねるような軽い調子でそう言ったが、その声には怒りがこもっていることはケラーをよく知る人間には明白だった。ゾクッとビーチャーの背筋に悪寒が走った。
ケラーの嫉妬心はライアンに劣らず異常なほど強い。
昨夜だってその嫉妬の激しさを身をもってビーチャーはおもい知らされている。
だから、黙っていたのに・・・よりによってややこしいところを聞かれてしまった。これはまずいとビーチャーは思った。
だが、手強い二人を相手に同時に説明するなんてさすがのこの雄弁なエリート元弁護士にも無理な話だ。
ビーチャーは哀願口調でケラーに言った。
「頼むよ、クリス、後にしてくれ。今は、ライアンに話をしているんだ」
ケラーは、ビーチャーに鋭い視線を向けてから、ライアンのほうを向いて言った。
「おい、オライリー。ビーチャーとまだ話があるのか?」
「いんや、K-boy。とっとと連れて行っていいぜ、邪魔だからな」
「ちょ、ライアン!」
「ふん、悪いが俺の知ったことじゃねえな、ビーチャー」
ライアンは人の悪い笑みをビーチャーに向けていった。

ケラーはぐいっとビーチャーの右腕を掴んだ。
「さあ、いくぞ、ビーチャー」
「クリスっ!!俺は下心があってやったんじゃないんだっ!」
「ああ、弁解はゆっくり聞いてやる。だが別の場所でだ」
「うっそれって!なあ、クリス!聞けよ!!隠していたのは悪かったけど、でも言ったら余計な詮索をするだろ?あれはあの場の雰囲気でつい、だから」
「みろ!お前はムードに流される奴なんだ、ビーチ!」
そう言ってからケラーはぐいっとビーチャーを引き寄せてると耳に口を近づけて低く囁いた。
「今ここで無駄なあがきをして俺を怒らせると”代償”が高くつくことになるぜ、ビーチ。分かってるな?」
ビーチャーはビクッと体を震わせると大人しくなって小さく頷いた。
今反抗してケラーの怒りを買うというリスクを冒せるほど今のビーチャーは気力も体力もなかったし、クレイジーでもなかった。
ケラーに腕を掴まれて連れて行かれるビーチャーは、まるで「ドナドナの歌」にでてくる子牛のようだった。
その様子を見ていた囚人たちはそれについて誰も何も言わなかった。看守も見て見ぬ様子だった。
寝起きの者たちにとっては、このOZの有名なカップルのやり取りにいちいち冷やかしやツッコミをいれるのは面倒だったのだ。みんな何事もなかったかのようにいつものように食事の配膳を続けた。

だが、その様子を見ていたシリルは悲しそうな顔になると配膳の持ち場を離れてライアンの傍に近寄って行った。
「ねえ、ライアン? ビーチャーの話を聞かなくてよかったの?」
「ああ、良いんだ。シリル」
「でも・・・ビーチャーはいけないことしたの?ケラー、怒った顔してたね」
「ああ、そうだな」
ライアンはニヤ二ヤ笑ってケラーがビーチャーを食堂から引きずって出て行くのを見送った。
二度とグローリアに触ろう何て思わねえように、ケラーにしっかり絞られろと思いながら。

シリルは心苦しそうな表情でライアンを見た。ビーチャーのことがとても心配な様子だ。
「それじゃ、ケラーにお尻ペンペンされるの?可哀相だよ、ライアン」
「心配してやる必要ないぜ、シリル。後ろめたいことをして隠したビーチャーが悪い、自業自得だ。それに、ビーチャーはそうされるのに慣れてる」
フンと鼻を鳴らしてライアンは皮肉げに言った。
シリルは無邪気な顔をしてライアンを見た。
「そうなの?僕は父さんにされたときいつも嫌だったよ。やっぱり止めなきゃ、可哀相だよ!」
そう言い終わるや否やビーチャーのところに走り出そうとするシリルの服をライアンは慌てて掴んで引き止めた。
「おい、シリル!行かなくていいんだ、シリル!放っておくんだ。あれは夫婦の問題だ。それにな、ビーチャーはそれが好きなんだよ」
ライアンが思わず口にした言葉にシリルは不思議そうな顔をした。
「え?ペンペンされるのが好きなの?痛いのに?」
純粋なシリルの目にライアンはたじろいで顔を背けた。
「うっつ、ああ、シリル・・・もうその話はなしだ。仕事の持ち場があるだろ?パンカーモに怒られるぞ」
「あっそうだったね。ごめん、ライアン、じゃああとでね」
「・・・・・ああ。(その時までに忘れてくれよ、シリル)」

*End*
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| OZの妄想小話(SS) | 22:38 | comments:4 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT

さすがははちだんごさん、ユーモアと愛情の詰まったお話ですv
>ちなみに、ボンドは顔も悪くない。
こういうさり気ない描写にニヤッとしましたw
そしてストーリーラインをちゃんと読ませて頂いていて良かったですvv
お話が2倍楽しめました☆
最後のライアンとケラーさんの二人に追い詰められるビーチャさんに萌え♪

| あけぼの | 2010/03/08 09:56 | URL |

こんにちわ☆

ビーチャかわいい(*´ェ`*)

”俺のバカバカ”って……かわいすぎる!

ライアンひどいけど、おかげでビーチャとケラーはらぶらぶですね♪

シリルとライアンの会話にも笑っちゃいました(*^^*)兄ちゃんしどろもどろになってるし(汗)

楽しいお話ありがとうございました☆

| gobyuu | 2010/03/09 11:18 | URL |

ウェルカムです! あけぼのさん(o^∇^o)ノ

拙い話を褒めていただいてなんだか恥ずかしくて照れます(/ω\)
でも、BKとOZへの愛情だけは詰め込めたと思っていたので、あけぼのさんにそれが伝わってとても嬉しいです!(^▽^)
話への丁寧な感想を本当にありがとうございます!!
二次創作なので説明不足な点もあったかと思うのですけど、楽しんでいただけて本当に嬉しいです(*^▽^*)

>最後のライアンとケラーさんの二人に追い詰められるビーチャさんに萌え♪

そこは私も書いていて楽しかったです(*^^*)
ビーチャーさんを妄想の中で少しいじめるのはいつもなんだか楽しいんです(笑)ビーチャーさんにはやっぱりS心をくすぐる何かがあるんでしょうね。本人には気の毒ですけれども(笑)

では、あけぼのさん コメントどうもありがとうございました(=^▽^=)ノ

| はちだんご | 2010/03/10 10:15 | URL |

ウェルカムです! gobyuuさん(^▽^)

> ビーチャかわいい(*´ェ`*)
そう言ってもらえて嬉しいです!(*^▽^*)
かわいいビーチャーさんが好きなので可愛くしてみたんです♪

> ライアンひどいけど、おかげでビーチャとケラーはらぶらぶですね♪
ええ、二人はトラブルがあったほうが燃えますからね(笑)
そんな二人のバカップルな話を目指してました。うまく伝わってよかったです(^▽^*)

> シリルとライアンの会話にも笑っちゃいました(*^^*)兄ちゃんしどろもどろになってるし
私もオライリー兄弟の会話は書いていて楽しかったです(笑)
シリルにライアンが振り回されるというのが好きなんです。あの兄弟の関係はほんと微笑ましいですから。

妄想話をgobyuuさんに楽しんでもらえてほんと嬉しいです!(^^)
コメントをどうもありがとうございました!!(=^▽^=)ノ

| はちだんご | 2010/03/10 10:27 | URL |















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